どーも!セシモンです。
「世界のコーヒー産地を巡る旅」シリーズも第5弾。
これまでブラジル、コロンビア、ペルー、ボリビアと南米を巡ってきましたが、今回もそのまま南米に残って、エクアドルにお邪魔しようと思います。
実は正直に言うと、僕はまだエクアドル産のコーヒーを飲んだことがありません。
でも、エクアドルという国には、ちょっとした思い入れがあります。
それが……
バナナです(笑)。
バナナは安くて、栄養素もあり、朝食にもなる全日本人の味方だと思っています!子供の遠足でもバナナはおやつに入るのか論争をしたこともあるのではないでしょうか!いや、あるはず!(圧)
今回はそんなバナナから始まった僕とエクアドルの縁を入口に、コーヒー産地としてのエクアドルを調べてみました。
調べれば調べるほど、
「え、エクアドルってこんなに面白いコーヒー産地だったの?」
皆さんも読めば読むほど、「そんなバナナ?」と言いたくなっているのでは。
バナナがくれたエクアドルとの出会い
僕がよく行くスーパー「ライフ」で、エクアドル産のバナナを食べたことがあります。これが、めちゃくちゃ美味しかった。
それまで僕は「安いバナナも高いバナナも、正直そんなに変わらないでしょ」くらいに思っていました。
ところが、食べ比べてみると意外と違う。
そこから少し調べてみると、バナナにも生産地や生産者を追える仕組みがあったり、レインフォレスト・アライアンスのような認証があったりして、僕が思っていた以上に品質管理やトレーサビリティが重視されている世界だと知りました。
トレーサビリティ・・・製品が「いつ・どこで・だれによって作られ、どう運ばれたか」という旅路を、後からいつでも調べられる仕組みのことです。英語の Trace(追跡) と Ability(できること) を合わせた言葉で、モノの履歴書のような役割を果たします。
もちろん、値段の違いがすべて「農薬の量」で決まるわけではありません。
栽培方法、品質、輸送、認証、ブランドなど、いろいろな要素が関係しています。
でも、「ただ安いから買う」ではなく、「どこで、誰が、どうやって作ったものなのか」を少し意識するようになったんですよね。そして気づけば、僕はエクアドル産のバナナを好んで買うようになっていました。
これって、実はコーヒーの世界と似ていると思いませんか?
オーガニック認証、フェアトレード、生産者が誰なのかというトレーサビリティ。
コーヒーで僕らが大事にしている価値観と、バナナの世界の価値観って、意外と地続きなんです。
そんなわけで、バナナ経由でエクアドルという国に妙な親近感を持っていた僕が、今回初めて、この国のコーヒーにちゃんと向き合ってみようと思います。
まずは国旗から
エクアドルについて調べていて、個人的にちょっと笑ってしまったのが国旗。エクアドルの国旗は、上から黄色・青・赤の3色。そして特徴的なのが、黄色の部分だけ他の2色よりも太いこと。
黄色が、青と赤を合わせたくらいの幅になっています。僕はこれを見て、
「黄色がデカい……」
「これはもうバナナ愛でしょ(笑)」と思ってしまいました。
もちろん、これは完全に僕の勝手な個人的イメージです(笑)。でも、調べてみると、あながち的外れでもありませんでした。エクアドルの黄色は、豊かな土地や農作物、天然資源、金などの豊かさを象徴していると説明されています。
エクアドル国会の説明でも、黄色は農業の豊かさや黄金、青は海と空、赤は独立のために流された血を表すとされています。さらに、黄色の横幅が他の色の2倍であることも正式に定められています。
つまり……
黄色=豊かな大地・農業・資源。
バナナもコーヒーも農業。そう考えると、「黄色デカい=バナナ愛!」という僕の勝手な妄想も、ちょっとだけ説得力があるような、ないような(笑)。
でも、こういうところから国のことを調べていくと、意外と勉強になります。
僕自身も今回調べてみて、かなり勉強になりました。
エクアドルってどんな国?
エクアドルは南米大陸の北西部、赤道直下に位置する国です。
↑以外と重要!
ちなみに国名の「Ecuador」は、スペイン語でそのまま「赤道」を意味します。そして、忘れてはいけないのが、、、、
ガラパゴス諸島。
あの有名なガラパゴス諸島もエクアドルの領土です。
本土から約1,000km離れた太平洋上に浮かぶ島々で、独特の生態系を持つ世界的に有名な場所ですね。そんなエクアドルは、実はコーヒー栽培という意味でもかなり面白い。
アンデス山脈、高地、火山性土壌、太平洋側の気候、そしてアマゾン側。国土の中にさまざまな環境が存在するため、コーヒーにもかなり多様性があります。
エクアドルのコーヒーの歴史
エクアドルでコーヒー栽培が始まったのは、19世紀半ば頃。特にマナビ県は、エクアドルのコーヒー史を語る上で重要な地域です。その後、コーヒーの輸出が行われるようになり、20世紀には生産が拡大していきました。
興味深いのは、エクアドルがもともとカカオの重要な生産国だったこと。
カカオ産業が病害などで大きな打撃を受けたことをきっかけに、コーヒー栽培が広がっていったという歴史があります。
「カカオの代わりにコーヒー」という流れは、中南米のコーヒー産地を調べていると意外と登場するパターンです。
アンデスが育むエクアドルコーヒー
エクアドルの面白いところは、赤道直下なのに標高の高いコーヒー産地があること。アンデス山脈が国土を縦断しているため、標高によってかなり違った環境が生まれています。
主なコーヒー産地
実際、現在は24州のうち23州でコーヒーが栽培されているともされ、国内のさまざまな地域でコーヒーが作られています。
① ロハ(Loja)
エクアドル南部に位置する、スペシャルティコーヒー好きならぜひ覚えておきたい産地。アンデス山地に囲まれた地域で、エクアドル国内でも特に品質の高いコーヒー産地として知られています。
ロハではシドラ、ゲイシャ、パカマ、ティピカ、カトゥーラなど、スペシャルティコーヒーで注目される品種も栽培されています。
味わいとしては、柑橘系の酸味、黄色い果実、赤い果実、黒糖に近い甘さ、チョコレートなど、複雑で明るいプロフィールが紹介されています。
② ピチンチャ(Pichincha)
首都キト周辺に位置する産地。
標高1,000〜1,600mほどの地域でコーヒーが栽培され、フローラル、フルーティーな風味が特徴として挙げられています。こういう農園を調べていると、エクアドルでは単純に「大量に作る」というより、品種や精製方法を工夫して、スペシャルティ市場を狙う生産者が増えていることが感じられます。
特に「フィンカ・マプト」の農園は評判が良いらしい!
③ マナビ(Manabí)
エクアドルのコーヒー史を語るうえでも重要な地域。
比較的標高の低い地域で、アラビカの生産が行われています。昔からコーヒー産地として知られていましたが、近年は生産量の減少など、さまざまな課題も抱えています。
一方で、精製方法では面白い動きがあります。かつてはウォッシュドが中心だった地域でも、近年はナチュラルなど新しい精製方法への挑戦が見られます。
④ エルチャコ(El Chaco)
アンデス山脈とアマゾン地域の境界に近いエリア。独特の環境もあり、スペシャルティコーヒーの新しい産地として注目したくなる地域です。
ここで僕が特に気になったのが、「ホセフィーナ農園」
希少品種「シドラ」をアナエロビック・ファーメンテーションで仕上げるということで、「それ絶対飲んでみたい!」となりました。
リンゴやトロピカルフルーツのような酸味、マスカットのような甘さ、そしてワインのような奥行き。
※アナエロビック・ファーメンテーション・・・収穫したコーヒーチェリーを密閉タンクに入れて酸素を遮断し、嫌気性微生物の力だけで発酵させる新しいコーヒー豆の精製方法です。
ガラパゴス諸島でもコーヒーが作られている!
そしてエクアドルのコーヒーを語るなら、やっぱりここ。
ガラパゴス諸島。
「ガラパゴスでコーヒー?」と思う人も多いと思います。僕も最初はそうでした。
ガラパゴス諸島では、サンタ・クルス島やサン・クリストバル島などでコーヒーが栽培されています。
ただし、ここは一般的なコーヒー産地とはかなり事情が違います!
ガラパゴスは世界的にも非常に重要な自然環境であり、島内では外来種や生態系への影響を防ぐため、厳しい環境管理が行われています。実際、島へ入る際にはバイオセキュリティの検査が行われ、外来生物の侵入を防ぐための厳格な管理がされています。
ただ、
「ガラパゴス産コーヒー=すべて自動的にオーガニック」
と断言するのは少し注意が必要です。
「世界遺産だから化学肥料や農薬が全面的に禁止されていて、必然的にすべてオーガニック」という説明を見かけることもありますが、今回改めて調べた範囲では、そこまで単純化しないほうが正確だと感じました。
ここは、
「ガラパゴスの厳しい環境保全・農業管理のもとで作られる、非常に個性的なコーヒー」
ガラパゴスでコーヒーが育つ。それだけで飲んでみたくなります。
そして気になる「エクアドルのインスタントコーヒー事情」
今回、エクアドルについて調べていて、個人的に一番意外だったのがここです。
実はエクアドルでは、インスタントコーヒーがかなり重要な存在なんです。
エクアドルでは昔からインスタントコーヒーの消費が盛んで、国内にはスプレードライ、フリーズドライ、アグロメレート(顆粒状)などのコーヒーを製造する加工産業があります。
そして面白いことに……
エクアドルはコーヒーを作る国なのに、インスタントコーヒーの原料として海外からコーヒーを大量に輸入している。
例えばエクアドルのELCAFÉは、アラビカとロブスタを原料に、フリーズドライ、アグロメレート、粉末タイプのインスタントコーヒーを製造しています。
しかも原料の産地として、ブラジルを筆頭にかなり多くの国が挙げられています。
※ELCAFÉ・・・エクアドル内最大のインスタントコーヒーメーカー
つまり、
「エクアドルのコーヒー=エクアドルで採れた豆だけで作られている」
というわけではないんですね。
むしろエクアドルには、海外から原料を集めて加工し、インスタントコーヒーとして国内外へ販売する大きな産業がある。
これ、かなり面白いです。むしろビックリしました!?
エクアドルはコーヒーを「輸出する国」なのに「輸入も多い」
ここで、もう一つ面白い数字があります。
エクアドルはもちろんコーヒーを輸出しています。ところが近年は、輸入量もかなり大きくなっています。
例えば2024年のデータを見ると、エクアドルは未焙煎・非デカフェのコーヒー豆を、
約417.6万kg輸入。一方で輸出は、約161.9万kg。
つまり、少なくとも生豆の貿易だけを見ると、輸出より輸入のほうが大幅に多い。
これには、国内消費だけでなく、インスタントコーヒーなどの加工産業が大きく関係していると考えられます。
という、かなり複雑なコーヒー産業を持っているわけです(笑)
ついでに、取引先ではドイツが1位だそう。
おわりに
バナナから始まった僕とエクアドルの縁。
ガラパゴスという世界でも稀な”完全オーガニック“環境、そしてインスタントコーヒー大国というもうひとつの顔。小さい国ながら、コーヒーの物語という意味ではかなり贅沢な国だと思います。
まずはスーパーのバナナからエクアドルを探すのも面白いかも!
それでは、また次回!

