【第6弾】世界のコーヒー産地を巡る旅、22年ぶりに解禁された”幻のアンデス”ベネズエラ

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どーも!セシモンです。

今回取り上げるのは、正直「コーヒー生産国」としてほとんど名前が出てこない国、ベネズエラです。でも調べてみると、これがとんでもなく面白い国でした。今回は幻の産地について。輸出が22年間止まっていた、まさに幻のコーヒー産地なんです。

ハブ(HUB)のラムコークとは全然違う、大阪で出会った一杯

ベネズエラと聞いて、実は僕がまず思い出すのはコーヒーじゃなくて、お酒なんです。大阪のラグジュアリーホテルでバーテンダーをしていた頃、ディプロマティコというラム酒に出会いました。

ラム酒って、日本だと全国にあるハブ(HUB)で飲むラムコークのイメージが強いですよね。安くて、カジュアルで、居酒屋で気軽に飲む一杯。僕もそれまではラムってそんなイメージしか持っていませんでした。

砂糖の製造過程で出る糖蜜(モラセス)や、サトウキビの搾り汁から作られます。

ジン、ウォッカ、テキーラと並ぶ「世界4大スピリッツ」の一つです!

ラムにはそれぞれ種類があり↓


  • ホワイトラム: 無色透明でスッキリした味わい。カクテルのベースに最適。
  • ゴールドラム: 薄い茶色で、甘い香りやコクのバランスが良い。
  • ダークラム: 濃い茶色で芳醇な香り。ストレートやロック、お菓子作りに向く。バーテンダーとして数え切れないお酒を扱ってきましたが、ミントを使用した、よく頼まれたカクテルで夏によく出るあの人気のモヒートをよく作っていたのを今でも覚えています。(懐かしい!!)

ラム酒はカクテルのイメージが強かったですが先輩バーテンダーに1本のラム酒を教えてもらいました!

それがディプロマティコ。

実はベネズエラ産。ベネズエラはラテンアメリカで唯一「Ron de Venezuela(ベネズエラのラム酒)」という原産地呼称を持つ国で、サンタテレサ、パンペロと並んで「ベネズエラ3大ラム」と呼ばれています。

この称号を名乗るには、白オークの樽で2年以上熟成、アルコール度数40度以上、他国産の糖蜜やアルコールを使わないことなど、厳しい基準を満たす必要があるそうです。

ウイスキー以外は基本ロックで飲みませんが、このお酒を飲ませてもらった時の様々な熟成させた木樽からくる心地よい香りに、キャラメルやチョコレートのような甘い香りが重なって、口に入れるとちょうどいい甘さがじんわり広がり、うっとりするような長い余韻が続くのが特徴的!

あのとき僕が感動した複雑な味わいの裏には、こういう国としての品質へのこだわりがあったんだな、と今になって納得しています。

そんなラム酒の国が、実はコーヒーでも「幻」と呼ばれる歴史を持っていました。

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世界の3分の1を生産していた時代

ベネズエラでコーヒーが栽培され始めたのは1730年ごろ、マルティニーク島から持ち込まれたのが最初とされています。
これ、実は僕が以前に書いた記事の
「コーヒーの歴史とアラビカ種・カネフォラ種の話〜豆知識と僕の経験を添えて〜」

1720年のド・クリューによるマルティニーク島へのティピカ伝播と、まさに地続きの話なんですよね。あの記事で触れた「マルティニーク島からジャマイカ・ベネズエラ・メキシコなど中南米各地へ広がった」という、

あの”その先“がここにありました。

1830年に独立した後、ベネズエラのコーヒー産業は一気に花開きます。最盛期には世界のコーヒー生産量のおよそ3分の1を占めていたと言われるほどで、当時はコロンビアと肩を並べる、いや、、、それ以上の一大生産国だったんです。

ところが1920年代、状況が一変します。

ベネズエラで大規模な油田が発見され、原油価格の上昇とともに石油産業が国の経済の中心になっていきました。ベネズエラは今も原油の埋蔵量が世界最大級で、輸出総額の9割以上を石油が占める国。

石油マネーが国を潤すようになると、コーヒーをはじめとする第一次産業は次第に軽視され、生産量は縮小の一途をたどっていきました。2017年のデータでは、ベネズエラのコーヒー生産量は世界21位。ちなみにコロンビアは3位です。かつて肩を並べていた国との差を考えると、この落差の大きさがよくわかります。

22年間、輸出が止まっていた国

ここがベネズエラコーヒー最大のポイントです。

2001年以降、ベネズエラ政府は国内消費を優先する政策をとり、コーヒーの輸出は事実上禁止状態になりました。

加えて、コーヒーを愛する国民の国内消費量がとても多く、輸出に回す余裕がそもそもなかったということもありました!
現在も生産されたコーヒー豆の99%以上が国内で消費され、輸出されるのはわずか1%未満と言われています。
※紐解いていくと色々見えてくるのが面白い!

この状態が22年間続いたのち、2023年、ついに輸出が再開されました。

きっかけは在日ベネズエラ大使の「国内でこれだけ良質なコーヒーが楽しまれているのに、海外の方に知っていただけないのはもったいない」という思いだったそうです。

現地の生産者・研究者・輸出業者が連携して輸出プロジェクトを立ち上げ、世界への輸出解禁の第一号として選ばれたのが、なんと日本だったんです!日本への輸入は2001年以来ということで、これは歴史的な出来事でした。

輸出が止まっている間、国際市場からほぼ姿を消していたベネズエラコーヒー。だからこそ「幻のコーヒー」「幻のアンデス」と呼ばれているわけです。

主要な産地とムクカイ農園

ベネズエラのコーヒー生産は、アンデス山脈沿いの西部に集中しています。中心となるのがメリダ州、タチラ州、スリア州で、ほかにもトルヒーヨ地域では深い甘みを持つ豆、東部では「カラカス」という銘柄でフルーティーな豆が栽培されているそうです。

そして今回一番気になっていたムクカイ農園があるのが、この中心産地・メリダ州です。標高2,020m、産地はメリダ州エル・バレ。アンデス山脈が広がる自然豊かな土地で、冷涼な気候(年間平均気温16〜20℃)、昼夜の温度差が大きく、肥沃な火山性土壌という、コーヒー栽培にとって理想的な条件が揃っています。

ムクカイ農園を語る上で欠かせないのが、ダルベリス・リバス氏という人物です。この方、Qグレーダーであり、コーヒーの品質コンサルタントであり、科学者であり、そしてムクカイ農園主でもあるという、複数の顔を持つ人物。ムクカイ農園では、彼を中心に意欲的な生産者たちによって常に新しい試みが行われています。

栽培品種はカトゥーラ、カスティージョ、そしてモンテクラーロという品種。
このモンテクラーロ、ベネズエラの風土に合わせて改良された独自品種で、カップ品質が非常に高いと評価されています。さらにゲイシャやピンクブルボンといった希少品種も栽培されていて、精製方法はウォッシュドが中心です。

飲んでみたい、その香味

それぞれの味の感想を拾い上げてみました!!!!

  • ウォッシュド:ヘーゼルナッツやマンダリンを感じる複雑な香り、シトラスやピーチのジューシーさ、カカオニブのほのかな苦み、キャラメルの甘い余韻
  • ピンクブルボン:バニラやラベンダーを連想する繊細な香り、ストロベリーやラズベリーのフルーティーさ、カラメルやベルガモットの後味
  • ゲイシャ:フローラルでシトラスやハーブを思わせる奥行きのある香り、かぼすやグレープフルーツの瑞々しさ、ハチミツやモルトの甘さとコク

酸味とコクのバランスが良く、標高の高い地域で育っているためクリーンなカップに仕上がるというのも、ベネズエラコーヒー全体の特徴のようです。

輸入業者が実際に現地でカッピングした際、「あまりに繊細な風味の素晴らしさに鳥肌が立った」と語っているのを読んで、これは飲んでみたい、と素直に思いました。

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おわりに

ディプロマティコで感動した国が、かつて世界の3分の1のコーヒーを生産していて、22年間の輸出停止という長い沈黙を経て、ようやく世界に再登場した。しかもその再登場の第一歩が日本だったというのも、なんだか運命的な話です。

まだ流通量はごく少量で、なかなか手に入らないのが現実ですが、ムクカイ農園のコーヒーを見つけたら、絶対に飲んでみようと思います。ラム酒で一度感動させられた国のコーヒーだと思うと、期待は自然と高まりますね。

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